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『ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024』 8月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開

  • ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
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37年の短い生涯で40本以上もの作品を手がけたライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。過激に挑発的に人間や世界のあり様を描き、現在もフランソワ・オゾンはじめ多くの映画作家に影響を与える希代の天才監督。そんなファスビンダーの傑作3本が劇場公開決定。19世紀ドイツの作家テオドール・フォンターネの小説の映像化で日本初公開となる『エフィ・ブリースト』、ファスビンダー美学の極致とも言える重要作『自由の暴力』(『自由の代償』より改題)、そして実在の女性歌手の半生に迫る大作『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』。社会が生み出したシステムに抗いながらも押しつぶされていく個人の姿。恋人や家族間でさえ生じる抑圧や力関係。それでもなお、求めてやまない絶対的な愛やその先の死──。いずれも40年以上前につくられ、描かれる舞台や背景は異なるものの、浮き彫りとなるテーマは古びることはなく、ファスビンダーの映画は今も<現実>だ。その強烈かつ複雑な魅力に満ちた、珠玉の3作品をぜひ劇場で。
TRAILER
リリー・マルレーン

リリー・マルレーン ナチス政権下のドイツで、国民に愛された歌手ビリー。
しかし彼女自身が愛したのは、たったひとりの男だった。
ファスビンダー屈指の大作が、4Kデジタルリマスターで鮮やかに甦る。

リリー・マルレーン第二次大戦中、敵味方を超えて兵士の心をとらえた名曲“リリー・マルレーン”。その一曲によってスターとなった実在の女性歌手の半生を、絢爛の映像美で描いたメロドラマの傑作。ユダヤ人の恋人との仲を引き裂かれ、ナチスのマスコットと蔑まされながらも、ひたすら愛を貫いてステージに立ち続けるビリーを艶やかに演じるのは『マリア・ブラウンの結婚』(78)のハンナ・シグラ。ビリーと激しい恋に落ちる音楽家ロバートを演じるのはルキノ・ヴィスコンティ監督作『イノセント』(76)のイタリアの美男俳優、ジャンカルロ・ジャンニーニ。他にもオードリー・ヘップバーンの夫だったメル・ファーラー、ラス・フォン・トリアー作品の常連ウド・キアーなど豪華なキャストが、時代に翻弄されながらも決して信念を曲げない女の物語を彩る。
リリー・マルレーン
『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』
脚本:マンフレート・プルツァー、ジョシュア・シンクレア、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 撮影:ザヴィエ・ショワルツェンベルガー 音楽:ペール・ラーベン
主演:ハンナ・シグラ、ジャンカルロ・ジャンニーニ、メル・ファーラー、カール・ハインツ・フォン・ハッセル、クリスティーネ・カウフマン、ウド・キアー
© 1980 by ROXY / CIP 1980年 / 120分 / 西ドイツ / カラー / Lili Marleen
自由の暴力

自由の暴力 宝くじを当て、一夜にして富と愛を手にした大道芸人フランツ。
やっと幸福をつかんだのも束の間、それは奈落への第一歩だったーー。
ファスビンダー自ら主人公を演じた、あまりにも痛ましい衝撃作。

自由の暴力身寄りはアル中の姉しかいない大道芸人フランツは、宝くじに当たったことをきっかけに、ブルジョワのゲイのサークルに入り込み、ハンサムなオイゲンに恋をする。一夜で富と愛を手に入れたフランツは有頂天になってオイゲンに貢ぐが、工場経営者の御曹司オイゲンと粗野なフランツとでは趣味も会話も何もかも相容れない。それでもひたすら愛を信じるフランツだったが、やがてふたりの齟齬は決定的となり・・・・・・。ファスビンダーが初めて男性同性愛を正面から取り上げた作品。ひとりの資本家の男に夢中になったばかりに、利用されるだけし尽くされる主人公をファスビンダー自身が熱演。資本主義社会の冷酷さを暴きだすと同時に、愛の名のもとに展開される哀しく痛ましい暴力的な関係が、デジタルリマスターされた美しい映像で鮮烈に描かれる。
自由の暴力
『自由の暴力』
脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、クリスチャン・ホホフ 撮影:ミヒャエル・バルハウス 音楽:ペール・ラーベン 出演:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ペーター・カテル、カールハインツ・ベーム
©Rainer Werner Fassbinder Foundation
1974年 / 西ドイツ / 123分 / カラー / Faustrecht der Freiheit
エフィ・ブリースト

エフィ・ブリースト 自由を愛する貴族の娘エフィ。
17才で結婚した彼女は、
因襲や束縛にもがきながらも自分らしく生きようとするが・・・・・・。
19世紀ドイツを代表するリアリズム小説の映画化、日本初公開。

エフィ・ブリースト20歳も年上のインシュテッテン男爵に見初められて結婚した、自由奔放な貴族の娘エフィ。堅物で出世欲の強いインシュテッテンはエフィを躾けようとする上、彼女を残し留守にしてばかり。田舎町の生活に馴染むことができないエフィは、常識にとらわれない夫の友人クランパス少佐と浮気をしてしまう。数年後、妻と友人の裏切りを知ったインシュテッテンは、クランパスに決闘を申し込むのだが……。19世紀後半の家父長制度のなかで、社会や美徳について問い、悩み、そして自らの道にも違和感を抱き続けながら生きたひとりの女性の姿を、デジタルリマスターされた繊細で美しいモノクロ映像で描く。ファスビンダーにとっては後年の『ベルリン・アレクサンダー広場』(80)にならぶ重要な文学映画。ヒロインを演じるのは長年にわたるファスビンダーのミューズ、ハンナ・シグラ。
エフィ・ブリースト
『エフィ・ブリースト』
原作:テオドール・フォンターネ 脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 撮影:ユルゲン・ユルゲス、ディートリッヒ・ローマン 出演:ハンナ・シグラ、ウォルフガング・シェンク、ウリ・ロンメル、カールハインツ・ベーム
©Rainer Werner Fassbinder Foundation
1974年 / 西ドイツ / 140分 / モノクロ / Fontane Effi Briest
コメント
渋谷哲也(日本大学文理学部教授/ドイツ映画研究)
今回のファスビンダー特集はまぎれもなく「暴力」がキーワードだ。今まで『自由の代償』として知られたゲイカップルの物語はセンチメンタルな道徳劇ではなく、妄執と策略の熾烈な闘争なのだ。それはあらゆるパートナー間で生起しうる搾取の関係性だとファスビンダーならいうだろう。『エフィ・ブリースト』は結婚という抑圧装置がもたらす諦念を描き出し、後に『マルタ』でグロテスクな悲喜劇へとデフォルメされた。そして『リリー・マルレーン』は決して結ばれることのないカップルの物語だ。彼らを隔てるのはナチスとユダヤ、ドイツとスイス、巡業歌手とサロン芸術家という絶望的な差異である。
どの映画も愛する者たちの関係を非情に握りつぶす。だがそうなるのは運命でも必然でもない。その悲劇を容認してしまう社会の態度をファスビンダーは鋭く批判しつつ、微かに希望の光も同時に感じさせる。
『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』によせて
加藤登紀子(歌手)
戦場の男たちが心を癒され奪われた奇跡の歌。
その歌の運命を生き切った歌手ビリーの、許されざる男への愛。
第二次大戦という時代の凄まじさ、危機にさらされたユダヤ人の必死の戦いの嵐の中で、
こんなにも歌が人の心をとらえ、運命を狂わせるのか、そのことに圧倒されました。
角銅真実(音楽家・打楽器奏者)
野生と道徳、個人と国家。
身体を持ち、人の世で生きることの複雑さ。
私が私であろうとする時、社会という渦は躾や仕組みという名の下、個人の情緒すら軽々と飲み込んでしまう。
鋭い疑問の眼差しと抵抗は、摩擦のエネルギーとして作品に焼き付けられ
今日を生きる“私”へ確かに届いた。
なんといってもスクリーンの中のファスビンダー自身の姿や表情が、目に焼き付いて離れない。
『自由の暴力』によせて
児玉美月(映画批評家)
与えられる者は徹底して与えられ、奪われる者は徹底して奪われる理不尽な世界で。
敗北の宿命を背負いながら、それでもなお愛に投機し続ける魂の高潔さに打ち震える。
『自由の暴力』は、決して色褪せることのないゲイフィルムの傑作だ。
わたしたちは絶望のなかに希望を、あるいは死のなかに生を見る。
『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』によせて
鮫島有美子(声楽家)
この映画ができたころ、私は、その熱い反響が渦巻く西ドイツにいた。第二次世界大戦中、敵味方を問わず、すべての兵士たちが毎晩待ち侘びた、戦場のラジオから流れる「リリー・マルレーン」。前線で歌に聴き入る彼らの顔、戦争の無情さに心が抉られる。どんなときにも人の心を支え続ける音楽と愛の力。政治に翻弄された一人の女の姿が胸を打つ。
中原昌也(ミュージシャン・作家)
やる気が失せるような物語に怒りすら感じるときもあるが、
そんなファスビンダーに最敬礼。
『エフィ・ブリースト』は地味だが、我慢してこそ意味がある。
なにがなんでも『自由の暴力』は現代映画を語る上で必須です。
心に隙間風が吹き込む名作。
『自由の暴力』によせて
町山広美(放送作家)
ヒゲなしファスビンダーが愛らしさを盛って演じる、無垢なる生贄のメロドラマ。資本主義の幼児は母に抱かれるように、搾取のシステムにかりとられる。
愛は発泡酒のねばつく後味を残し、快楽に殉じるスポーツカーは市場価値を持たないが、車内の孤独だけが美しい。
劇場情報
公開日 地 域 劇場名
北海道
上映終了 札幌市 シアターキノ
東 北
12月27日 仙台市 フォーラム仙台
関 東
上映終了 渋谷区 Bunkamuraル・シネマ
上映終了 世田谷区 下高井戸シネマ
12月7日 新宿区 早稲田松竹
上映終了 横浜市 横浜シネマリン
上映終了 川崎市 川崎市アートセンター
上映終了 柏市 キネマ旬報シアター
甲信越静
11月29日 長野市 長野ロキシー
上映終了 松本市 松本CINEMAセレクト
12月20日 上田市 上田映劇
12月6日 浜松市 シネマイーラ
『リリー・マルレーン』『マリア・ブラウンの結婚』『不安は魂を食いつくす』上映
中部・北陸
上映終了 名古屋市 ナゴヤキネマ・ノイ
12月7日 富山市 ほとり座
上映終了 金沢市 シネモンド
2023年、2024年の6作品を上映
関 西
上映終了 大阪市 シネマート心斎橋
上映終了 大阪市 シネ・ヌーヴォ
上映終了 京都市 出町座
上映終了 神戸市 cinema KOBE
中国・四国
上映終了 広島市 横川シネマ
上映終了 松山市 シネマルナティック
2023年、2024年の6作品を上映
九州・沖縄
近日公開 福岡市 KBCシネマ
上映終了 熊本市 Denkikan
上映終了 大分市 シネマ5
上映終了 宮崎市 宮崎キネマ館
上映終了 鹿児島市 ガーデンズシネマ
上映終了 那覇市 桜坂劇場
2023年、2024年の6作品を上映
前売り
前売り
提供:マーメイドフィルム、Respond
配給:コピアポア・フィルム
宣伝:VALERIA、マーメイドフィルム
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